でぐち皮ふ科 山梨県笛吹市の皮膚科・ひふ科・出口皮膚科

Medical Treatment診療内容

アトピー性皮膚炎

  • 体質『アトピー素因』・・・抗アレルギー薬の内服。
  • 乾燥『バリア機能低下』・・・保湿剤の外用。湿疹にはステロイドや炎症を抑える外用。
  • 『環境要因』・・・部屋の掃除や入浴で、身の周りの環境をキレイに整えておくことが大切。
  • 『ストレス』・・・何でも相談してください。

アトピー性皮膚炎は遺伝的な素因がベースにあるため治りにくく、繰り返す湿疹、痒みに悩まされます。それでも、ここ最近の医療の進歩により、新たな薬が導入され、症状を軽く抑えることができるようになりました。人によっては症状がほとんど無い状態で過ごせる方もいます。
それでは、治療の基本を知るために、まずは【アトピー性皮膚炎】の原因と、悪化の要因について説明していきます。

遺伝的素因には体質『アトピー素因』と、皮膚の乾燥『バリア機能低下』があります。バリア機能が低下すると、ハウスダストと呼ばれるちり・ほこり、そしてダニ、細菌、カビ、花粉などの『環境要因』の刺激を受けやすくなります。そこに湿疹、痒みを起こしやすい体質が重なることで、症状が出やすいのです。さらには、『ストレス』が悪化の要因になります。ストレスが直接的に関わるというよりは、ストレスによる掻破行動が炎症を悪化させ、肌のバリア機能をさらに低下させます。負のスパイラルに入ってしまいます。

以前は、アトピー性皮膚炎は小児期だけのもので大人になったら治りますと言われた時期もありました。確かに成長と共に、肌が丈夫になると、バリア機能が改善して症状は出にくくなります。しかし、それに反して最近では大人のアトピー性皮膚炎の方が増えています。この要因の一つとして『ストレス』が挙げられます。学業、仕事、人間関係などストレスの多い社会となったことが少なからず関わっています。

以上のようなことを踏まえて治療について考えてみましょう。まず治療の考え方ですが、原因を除去できれば、症状は無くなります。例えば、風邪では、細菌やウイルスを薬で除去することができれば症状は無くなります。アトピー性皮膚炎ではどうでしょうか。体質『アトピー素因』や、皮膚の乾燥『バリア機能低下』は遺伝的素因のため、今の医学をもってしても除去することは難しいです。『環境要因』はある程度コントロールできます。『ストレス』も何とか減らすことはできるかもしれません。それでも、どれも完全に除去することは難しいと言わざるを得ません。ただ、ここであきらめてはいけません!。治療の考え方を少し変えてみましょう。それぞれの原因、要因を対して薬を使って、できる限り正常に近づける。これが治療の目標となります。

具体的に言いますと、
体質『アトピー素因』に対しては抗アレルギー薬(かゆみ止め。花粉症で使われる薬と同じです。)を内服します。炎症がひどい時は、一時的に免疫を調整する薬を使うこともあります。
乾燥『バリア機能低下』に対しては保湿剤の外用(スキンケア)を中心に行い、湿疹やひどい痒みがあれば、ステロイドや炎症を抑える外用薬を使います。
『環境要因』については、部屋の掃除や入浴で、身の周りの環境をキレイに整えておくことが大切となりますが、過度に気にする必要はありません。というのも、先にお話ししたように体質『アトピー素因』、乾燥『バリア機能低下』を薬でコントロールしていれば、周囲の環境からの刺激は入りにくくなるからです。過度に気にしてしまうと、『ストレス』になり、逆効果です。
最後に『ストレス』に対する対策は単純ではありませんが、何でも相談してください。少しでも減らせるようにスタッフ一同、全力でサポートします。皮ふ科ではなくなりますが、アトピー性皮膚炎をコントロールする上で一番大切なことかもしれません。場合によっては心療内科のサポートもお勧めします。