蕁麻疹は、痒みを伴う、蚊に刺されたようなプクッと膨らんだ発疹、赤みです。みなさんは、すべてアレルギーによるものと思っているかもしれませんが、実はアレルギーによる蕁麻疹は半分にも満たないのです。蕁麻疹全体の中の1,2割とも言われます。
それでは、アレルギー以外の蕁麻疹の原因にはどのようなものがあるのでしょうか。実は原因不明なもの(特発性蕁麻疹)が一番多いです。このタイプの蕁麻疹は慢性化しやすく、毎日のように出現します。『蕁麻疹の出やすい体質になってしまった』としか言えない状態です。ストレスで症状が出やすく、悪化します。季節の変わり目で、自覚はなくとも温度変化に体がついていかず、蕁麻疹が出ることもよくあります。それ以外には感染性蕁麻疹(風邪などの感染症に伴う蕁麻疹)や、寒冷蕁麻疹(寒冷刺激で蕁麻疹が誘発される)、機械性蕁麻疹(掻いたところ、強く圧迫されたところに誘発される)、コリン性蕁麻疹(発汗に関わる。出始めにピリピリ感を伴う)など様々なものがあります。
原因は何であれ、治療の基本は『抗アレルギー薬』の内服です。アレルギー性でなくても『抗アレルギー薬』?と思われるかもしれません。それは、どのタイプの蕁麻疹も最終的には皮膚にある肥満細胞からヒスタミンという物質が放出されることで症状が出現しています。このヒスタミンを抑制する薬を『抗アレルギー薬』と呼んでいるため、アレルギー性でなくても、服用する薬は『抗アレルギー薬』 になるわけです。抗アレルギー薬には様々な種類があり、人によって効果が違うため、人それぞれに合う薬を選ぶことと、症状の程度に応じて量、種類を増やしたり、慢性、一過性などの症状に合わせて治療期間を決めています。慢性蕁麻疹では治療期間が数か月~数年に及ぶこともあります。
もう一つ、治療で大切なことは原因の除去です。
以上のような日常生活での対策も大切です。原因がある場合は、その原因を除去できれば、蕁麻疹は全く出なくなります。ただ、日常生活の中で原因を完全に除去することは困難ですので、抗アレルギー薬の内服を補助的に行います。
一方、原因不明の『特発性蕁麻疹』では、原因が分からない分、予防ができません。それでも、一般的に蕁麻疹の悪化因子と言われている、過度に温まること、刺激物の摂取、飲酒、ストレスを減らすといった対策をとることで、蕁麻疹の出現頻度を抑えることができます。そのような対策をしつつ、薬を毎日、欠かさず服用することで、蕁麻疹は出なくなります。内服薬だけでの治療が困難な場合には注射薬による治療もあります。